親切な人に遭遇する

Silviaは昨年仕事を辞めたので、失業手当てを受けている。

しかし、ハローワークに通う認定日もきょうが最後となった。

隣の市にあるハローワークはきょうは、めちゃ混みだった。

駐車場に停めるスペースがない。
一方通行ではないのだが、車1台分しか通る道幅しかない。その道がみるみるうちに後続の車で埋まってゆく。

Silviaが右往左往していると、後からきた車がサッと空いた空間に駐車した。

Silviaは先を超され、1台空いたスペースを見つけたが、頭から突っ込めず、バックしても入れられず、どうしたものかと途方に暮れていると、先ほど颯爽と駐車をした車の主の男性が、見るに見かねてか「入れましょうか?」と声をかけてきた。
藁にもすがる思いで、恥をしのんでお願いしますと頼んだ。

Silviaは運転をかわってもらい、その男性はすいすいと駐車スペースに車を入れてくれた。ありがたや。silviaは丁重にお礼を言った。
そして、簡単な事務処理が終わり、いろいろと認定中にお世話になったハローワークの職員のAさんに最後の挨拶を済ませ、駐車場に戻った。

Silviaの車は少し長さがある。何度もきりかえさないと狭い駐車場から出られない。
入れてもらったのはいいが、今度は出るのにまた一苦労しそうだ。ヤレヤレとため息。

すると、車を入れてくれて兄さんが、またまた登場。
今度は『出しましょうか?』と声をかけてきた。

二度びっくりである。その兄さんの方がsilviaより早くハローワークを出ている。まさか、待っていてくれたのかな?などとまたまた勝手な妄想。silviaはありがたくその言葉に甘え、出してもらうことにした。
『助手席に乗って下さい』その兄さん。
「え?」
『出口まで出します』そう言われて助手席に乗り込んだ。
「もう、ここで大丈夫です。ありがとうございました」とsilviaが降りようとすると、『ここは、対向車がくると大変なので、広い道まで出ます』と言うやいなや、その兄さんは駐車場の出口の少し先まで運転してくれた。

時間にしては短いその間、キャーこのままどこかに連れて行かれたらどうしよう?しかし兄さんの車は駐車場に置きっぱだし、等と、またまた妄想していると、『ここなら、もう大丈夫ですよ』と言って彼はす早く運転席を出た。
なかなか紳士的な男性だった。妄想も何も、silviaより、はるかに年下の男性だ。困っているオバサンを親切心で助けてくれたのだ。
Silviaは、またまた丁重にお礼を言い、帰路に着いたのである。
一昨日、例のスタバでトイレ待ちのおばあさんからトイレが長いとイヤミを言われ、久しぶりにやな感じの人に遭遇したことを思いだし、世の中には、こうも親切なひとがいるのだとちょっとほんわかした気持ちになった。
世の中、まんざらすてたものではない。
うれしい日になった。